September 25, 2006

放送禁止について

てな訳で、前のエントリで紹介した、放送禁止について、なんだけれども。

2003年頃、放送されたってことで、ブレア・ウィッチとかの影響を受けた(?)ドキュメンタリの手法を取ったフィクション。
ただ、ストーリーにちりばめられた小道具が、実在のものである、ってのがキモなんかな。

ただ、これをこんなトコで観ても、途中で、ああ、作り物なんだなとは、誰でも気づくと思うから(リアルタイムで深夜に何気なく観た人は、しあわせだっただろうなあ)、そういうとこは置いといて。


フィクションだと気づいてしまうと、怖さとかそういうのより、物語の展開の仕方なんかが気になってしまう。
第一話は、都内にポツンと存在する廃ビルに、キモだめしで忍び込んだ若者たちが、次々に失踪するって話。
こういうツカミは、サスペンス物とかホラー物のフォーミュラなんだけど、たとえばそこで、まずは、次に失踪するのは誰か?とか、自分も消えてしまうのか?というサスペンスを膨らませたりする。
次に、関係者がすべて失踪してしまって、その謎を追うってのが定石なんかな。
ただ、全員が失踪してしまって、じゃあなんで失踪したんでしょうか?って謎を追うってことは、そこで物語を辿る筋道が途切れるってことでもあるとおも。
失踪者と探索者の関係や、それによる探索者の感情が関係もしてきたり。

この『放送禁止』という話の場合は、TVのスタッフが失踪事件を追うってことになってるから、失踪者との関係は希薄で、一層、スジが薄くなっている。
ホラー物なんかは、そこを因縁話でつないだりするし、この話も、まあそんな展開なんですが、でも、純然たるホラーとは自分のことを云ってないから(当初の立ち位置として)、そこが弱いなあと思ったり。


でまた、失踪事件をどういう風に収めるのかと思っていたら、超能力で、巨石文明で、UFOかあ(笑)と、そういう落としどころは、20年前だったらオケだったんだろうけど、いまじゃ手垢がついちゃってて。
いつぞや書いた伝奇小説の話じゃないけど、現代においては、情報も氾濫してるし、虚も実もメタも入り乱れて、各々が相対的になってるから、フィクションのリアリティを補強することが、とっても難しくなってるんだなあ、とそれが最終的な感想?かな。


話はちょっと違うけれど、こういうなんていうか、"物語の展開"について、理知的なのが村上龍で、彼の書く小説は、設定聞いただけで「あー、これは勝ちだあ(笑)」と思ってしまうんだけれども(小説の上手さとは別ね)、かたや理知的じゃないけれど、長嶋ばりの野生の感で、物語を発見していくのが鈴木光司。
リングなんてのは、「わらしべ長者」みたいな話ですよ(笑)
でも、その力技な部分が鈴木光司の面白さでもあって、「えー、こんな展開になっちゃうの?!」という驚きで、未だに鈴木光司読んでたりするんだよなあ。
新刊求む(笑)


放送禁止 DVD封印BOX
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自己確立してないし
まあ、ただの日記なんだけど
それでだけ終わるのも
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パラノ体質が許さないってか

で、一応ゲイなんですが
それに限らず色々書いてきます
でも、やっぱゲイであることから
離れることは出来ないかも



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