March 11, 2006

かならず、またお目にかかろう

体調が戻ってくると、そりゃ性懲りもなく飲みに出かけたくなります(笑)

昨晩は久しぶりに酔っ払って、いまもまだアタマ痛いんだけれど、はてブ見てて思いついたネタがあるので、すぐやる課。


魔王14歳の幸福な電波 - ていうかそもそも「伝奇」って何ですか?

こちらの記事を思わずブクマして「半村良とか荒巻義雄とか知らない世代なんだろうなあ…なんてこと云うと白い目で見られそうな(ヘタレ)」なんて中途半端なコメントつけちゃったんですが、管理人のErlkonigさんから早速反応が。

はてなブックマーク - 魔王14歳の幸福な電波 - ていうかそもそも「伝奇」って何ですか?
  • 2006年03月10日 brainparasite 『[ライトノベル][文学]ここで扱われている伝奇って、きのこ・ファウスト以降の新伝奇では?って気が。でも自分も定義よくワカンネ。』
  • 2006年03月10日 Erlkonig 『[創作][伝奇]↑ひぎぃ。  ↓伝奇には『総門谷』から入りました。半村良さんは読もう読もうと思いつつまだ……みたいな。』
  • 2006年03月10日 daddyscar 『[しょうせつ]半村良とか荒巻義雄とか知らない世代なんだろうなあ…なんてこと云うと白い目で見られそうな(ヘタレ)』

伝奇小説という言葉を誰が使いだしたのかは知らないけれども、エンタテインメント小説の分野で、それが一般化したのは、やはり半村良の石の血脈以降でしょう。
で、それを拡大再生産したのが空白の十字架をはじめとする荒巻義雄の"空白シリーズ"だった…筈。

ただ、Erlkonigさんがおいくつなのか、僕は存じ上げないんだけど、この辺の小説とか、いまさら読む必要はないと思いますよ。

Erlkonigさんの直後にコメントされてる方のおっしゃるとおり、近頃の「伝奇」というと、空の境界とかを売るためのラベル付けとして、笠井潔が考え出したものでしかないし。

半村、荒巻辺りの伝奇小説というのは、連綿と古代より続く謎の結社とか、キリスト来日説なんていうオカルティック(というか、いまで云うトンデモ)な謎に着想を得ているんだけど、当時は、そういう謎についていまほど知られてなかったので、新奇なものとして面白がられたのでしょう。ただし、これほど情報の溢れた現代の目で見ると、その新奇さも確実に陳腐化してしまっています。
また、出自がSF作家である彼らは、その着想を現実化することばかりに注力していて、ストーリーやキャラクターは、その着想に奉仕する脇役でしかありませんので、そういう小説の面白さを楽しめもしません。

僕自身、『石の血脈』はリアルタイムではなく、のちに「勉強」のために読んだんですが。

いやあ、つらかったなあ(笑)


と、毎度毎度で話は飛ぶんですが、半村、荒巻、と来ると、僕なんかは、やっぱ平井和正を思い出しちゃって。

昨今の、ラノベをはじめとするキャラクター小説の開祖が、平井和正のアダルト・ウルフガイシリーズであることに、異論を挟む方は、あんまりいない、いや、ぜってーいねえだろうと思うのですが、いや、この小説は、めっぽう面白かった。

人知れず存在する人狼一族のひとりが、人知を超えるその力を持ってCIAをはじめとする巨悪と戦う。
しかも、そいつは、どんなに苦しい状況に置かれても、フィリップ・マーロウばりの軽口ワイズクラックを叩きまくるニヒルな軽薄男で。

云わば、半村なんかの伝奇小説にキャラクターの面白さが付け加わったのが、"アダルト・ウルフガイシリーズ"だった訳です。

ただ、このキャラ造形の絶妙さ *1を、平井自身が意識していたかは疑問、というかそんなことないんだろうなあ。

この平井という人も、日本SF界の第一期生でありますから、最初は、アイディア一発みたいな短編SFをガンガン書いてました。
だから(と云い切ってしまっていいものかどうかわからないけど、けどたぶん)、短編型の思考が抜け切れなかった所為で、長編を書くといつもグダグダで、腰が据わらなくて。
物語に不自由な人だったんですね。
本人はそれを「自動書記」とか「お筆先」なんて言葉でにごしていたけどさあ(笑)

それでもアダルト犬神明という秀逸なキャラクターを得て、エンタテインメントSFの大家として長編を書きまくって、僕らは当時、それに熱狂してました。

そして、その後、平井自身の宗教的な"回天"が起こる訳です。


「僕らは当時、それに熱狂してました」なんて書いときながら、実は僕自身は幻魔発の、後追いファンだったので(スマソ)、直接この"回天"に巻き込まれなくてすみました。
でも、リアルタイムでこれに出会った人たちは大変だっただろうなあ。

大ファンだった自分たちのヒーローが、いきなり神について語りだしちゃったんだもん。
神は存在する。君たちも神の存在を感じろ、と。

この"回天"によって、読者の半数が入れ替わったなんて話を聞きますけど、てことは、半分は読者を辞めなかったってことで、また、その後の幻魔で、平井は一層読者を獲得していきます。

僕もそのひとり。

僕自身の倫理観や道徳観なんてのも、もしかしたら、平井の作品に影響を受けてるかもしれない。
そりゃそうだよね。まだ心の固まってない十代の頃に、一種の宗教小説に熱狂していたのだから。

洗脳セミナーとかそんなの比じゃないですよ(笑) *2

だからと云って、平井自身にどうのこうのと文句がある訳でもねえんですが。

あ、文句はあるか。
文句というか、お願いが。


とりあえず、幻魔だけは、完結させていただけないでしょうかね? *3



*1 「なにをいまさら…」と云われるかもしんないけど、寺沢武一の『コブラ』なんてのも、あの主人公の造形は、どう考えてもアダルト犬神明のインスパイヤだよねえ(笑)

*2 あれみたいなもんだ。ほら、XJAPANのト○とか((笑)とかwwとか付けたいけど自粛自粛ゥ〜)。

*3 無理だろうけど…。
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1. エホ●の証人のわなに気をつけよう  [ ゆしどうふ ]   March 28, 2006 09:16
先週、エホ●の証人が2人家にやってきましたが、彼らの終末の預言(この世の終わり)がすべて外れたことを指摘して追い返しました。1925年、第二次世界大戦、1975年など。インチキ!

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紹介するほど
自己確立してないし
まあ、ただの日記なんだけど
それでだけ終わるのも
能がないっていうか
パラノ体質が許さないってか

で、一応ゲイなんですが
それに限らず色々書いてきます
でも、やっぱゲイであることから
離れることは出来ないかも



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